市立四日市病院 循環器内科では、急性心筋梗塞や不安定狭心症、重症不整脈、急性心不全など生命に危険のある患者さんに、カテーテル治療を中心とした最新の高度医療を24時間体制で提供しています。特に急性心筋梗塞に対しては95%を超える症例に緊急カテーテル治療を行い、病院到着から90分以内に閉塞した冠動脈を再灌流する体制をめざしています。治療は心臓血管外科と連携し、治療ガイドラインに沿った安全で効率的な診療を心掛けています。
心房細動・発作性上室性頻拍などの不整脈に対するカテーテルアブレーション治療、左脚ブロックを伴う重症心不全に対する心臓再同期療法(CRT)、致死的不整脈に対する植え込み型除細動器(ICD)、高齢者の大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療(TAVI)、重症心不全に対するIMPELLA(インペラ)留置など先進的な治療も積極的に導入しています。
急性心筋梗塞・不安定狭心症といった急性冠症候群の救急患者さんは、基本的に全例受け入れの方針をとっています。急性心筋梗塞の入院患者数は、毎年約150人で、そのほとんどに緊急カテーテル治療を施行しています。緊急カテーテル治療を施行した場合の死亡率は過去5年間の平均で4.0%でした。安定狭心症に関しては病状に応じてまず心エコー、運動負荷心電図、負荷心筋シンチ、ホルター心電図などを行いますが、ガイドラインに沿って冠動脈造影検査も積極的に行っています。冠動脈造影CTは2022年度612件、カテーテルによる冠動脈検査は662件でした。
緊急治療を含めて毎年400-450件/年のPCIを施行しています。新しいタイプの再狭窄抑制型冠動脈ステントの使用が中心となり、以前に懸念された「再狭窄」、「血栓閉塞」の問題はかなり解消されてきています。それでも再狭窄を生じた場合には、主にカッティングバルーンで拡張した後に薬剤溶出型バルーンなどスコアリングバルーンで治療します。
高度な石灰化を伴う冠動脈狭窄があってバルーンカテーテルによる拡張が困難な場合に病変部を削る器具です。施設認定が必要で限られた施設でしか実施できません。当院では2022年度の実施はロータブレーター42例、ダイアモンドバック3例でした。また、2023年より石灰化病変に対する新規治療デバイスである血管内破砕術(Intravascular Lithotripsy; IVL)を導入し、より複雑な冠動脈病変にも対応可能となっています。
24時間ホルター心電図、長時間ホルター心電図、心エコー、トレッドミル検査、加算平均心電図、あるいはカテーテルによる電気生理学的検査にて不整脈評価を行います。不整脈の種類や重症度に応じて、薬物治療や非薬物治療(カテーテルアブレーション、ペースメーカー、植え込み型除細動器付ペースメーカー)の可否を決定していきます。
頻脈性不整脈(発作性上室性頻拍・心房粗動・発作性心房細動、心室頻拍など)に対するカテーテル手術(カテーテルアブレーション)を毎年500件程度実施しており、その3/4は心房細動に対する治療となっています。各種3Dマッピングシステム、高周波アブレーション、局所を冷却するクライオアブレーションシステムにて、患者さんの被曝を軽減しつつ短時間で安全な手技を心がけています。
徐脈性不整脈に対してはガイドラインに従って永久ペースメーカー植え込みを行います。可能な限りMRI撮影に対応している機種を選択しています。自宅に居ながら病院でペースメーカーの状態が把握できる遠隔モニタリングシステムを導入しています。高齢の方の一時的な徐脈の場合にはリード(電線)のないリードレスペースメーカーの植え込みも行っています。
原因不明の失神や失神前駆症状の訴えがあっても、通常の診断方法では検出できなかった不整脈を記録する機器です。体表面に植え込み後約3年間作動します。
心室細動などの致死的頻脈性不整脈から蘇生された場合や、アブレーション治療では根治不可能で突然死の可能性をはらんだ心室頻拍に対しては、植え込み型除細動器(ICDまたはCRT-D)の治療を行っています。本体とリードが心臓や血管に触れない完全皮下植え込み型除細動器(S-ICD)も導入しています。以前のICD植え込み部分が感染を起こした場合やICD植え込みが迷われる場合には着用型自動除細動器(WCD)を最長3か月間装着し経過を見ます。
心臓超音波検査、冠動脈造影、左室造影、右心カテーテル検査、心筋生検、心臓核医学検査などにより心不全の原因を検索します。内科的治療に抵抗性の重症心不全に対しては非薬物治療の適応を決定します。
重症慢性心不全でQRS幅の広い左脚ブロック型心電図を呈する症例に対してCRTまたはCRT-Dの植え込みを行っています。
左主幹部急性心筋梗塞・劇症型心筋炎などの重症急性心不全や電気的除細動不応の重症不整脈には経皮的人工心肺補助装置(PCPS)・脳低体温療法を用いて救命しています。PCPSは2022年度に16例実施しました。また、2021年より経皮的補助人工装置(インペラ)の使用が可能となり、2022年度は7例実施しました。
経胸壁心エコーでのスクリーニング検査の後、必要に応じて経食道心エコーでの精査を行い、心臓血管外科医を交えたハートチームでのカンファレンスで手術適応を検討します。
心臓弁膜症で手術を検討しているような場合には、より精密に弁機能を評価するために必須の検査です。心内血栓の検索、感染性心内膜炎の確定診断、先天性心疾患の診断などにも有用です。検査時には静脈麻酔を用いて検査を安楽に受けて頂ける配慮をしています。2022年度は326例の実績があります。
高齢者や他の併存疾患を持っているなど、手術リスクの高い重症大動脈弁狭窄症の患者さんが適応となります。心臓血管外科、麻酔科との合同チームで2022年度には41例実施し、高齢化に伴い近年増加傾向です。
循環器内科・心臓血管外科に入院され薬物治療や手術治療を受けた患者さんが、入院中の心臓リハビリテーションを経て退院した後、引き続いて外来でも心臓リハビリテーションを実施しています。退院後5カ月後まで実施可能です。
虚血性心疾患では虚血の判定や心筋viability評価の目的で、弁膜症では重症度評価の目的で施行しています。
金城 昌明
かなしろ まさあき
役職
所属学会・
資格
専門分野
渡邊 純二
わたなべ じゅんじ
役職
所属学会・
資格
専門分野
内田 恭寛
うちだ やすひろ
役職
所属学会・
資格
専門分野
一宮 仁
いちみや ひとし
役職
所属学会・
資格
専門分野
水谷 吉晶
みずたに よしあき
役職
所属学会・
資格
略歴
専門分野
鈴木 瞳
すずき ひとみ
役職
所属学会・
資格
専門分野
牧野 裕一朗
まきの ゆういちろう
役職
所属学会・
資格
専門分野
野々川 大志
ののかわ だいし
役職
専門分野
藤原 玄
ふじわら げん
役職
専門分野
阪井 博哉
さかい ひろや
役職
専門分野
西尾 佳将
にしお けいすけ
役職
専門分野
一宮 惠
いちみや さとし
役職
所属学会・
資格
専門分野
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | |
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午前 | 野々川 鈴木 内田 |
牧野 |
阪井(第1,2週目) 西尾(第3,4週目) 渡邊診療部長 青山 |
野々川 鈴木 内田 |
金城院長(代診医)※2 牧野 |
午後 | 野々川 鈴木 水谷(吉) |
牧野 一宮 仁 |
阪井(第1,2週目) 西尾(第3,4週目) 渡邊診療部長 不整脈外来※1 |
ペースメーカー (第1,3週目) |
特殊外来 ペースメーカー外来 第2・第4金曜日 午後
特殊外来 ICD外来 3ヶ月毎 金曜日 午後
※1 不整脈外来は、循環器内科を受診時に予約をお取りします。
※2 しばらくは代診医になります。
急性心筋梗塞患者数 | 134 |
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心不全入院患者数 | 331 |
急性大動脈解離患者数 | 73 |
冠動脈造影検査件数 | 606 |
PCI件数 | 442 |
緊急PCI件数 | 158 |
待機的PCI件数 | 284 |
Rotablator使用症例数 | 39 |
Diamondback使用症例数 | 5 |
カテーテルアブレーション件数 | 563 |
心房細動 | 409 |
内Balloonによる | 106 |
内RFによる | 303 |
その他 | 154 |
TAVI件数 | 56 |
IABP件数 | 42 |
PCPS件数 | 17 |
IMPELLA件数 | 7 |
ペースメーカー植え込み件数 | 142 |
新規 | 96 |
交換 | 46 |
ICD植え込み件数 | 25 |
新規 | 15 |
交換 | 10 |
CRT/CRT-D件数 | 8 |
冠動脈CT件数 | 663 |
負荷心筋血流シンチ件数 | 159 |
心臓MRI件数 | 50 |
経胸壁心エコー件数 | 8561 |
経食道心エコー件数 | 303 |
運動負荷心電図件数 | 354 |
CPX件数 | 18 |
ホルター心電図件数 | 2160 |