当院は地域がん診療連携拠点病院として三重県北勢地区においてがん診療の中心的役割を担っています。現代のがん診療においては手術療法、化学療法、放射線療法などのがんを治す治療だけではなく、がんやがん治療に伴う苦痛をやわらげる『緩和ケア』の重要性が指摘されています。
その緩和ケアを専門的に提供する院内拠点組織として令和4年2月に緩和ケアセンターが設立されました。緩和ケアセンターでは入院患者さまに対応する緩和ケアチーム、外来患者さんに対応する緩和ケア外来を中心としてがん相談支援センターなどとも協力し、多職種でがん患者さんの生活の質(QOL: Quality of life)の向上を目指しています。
緩和ケアと聞くとどのようなものを想像されますか。がんの末期に受けるものという誤解はありませんか。緩和ケアは「重い病を抱える患者やその家族一人一人の身体や心などの様々なつらさをやわらげ、より豊かな人生を送ることができるように支えていくケア」です。重い病とは主にがんですが、末期とは言われていません。がんと診断されたときから緩和ケアは始まります。「緩和ケアを受けるのはまだ早い」という言葉は存在しません。
例えば、「がんと宣告されたときの落ち込んだ気分を緩和し治療への意欲を持っていただくこと」や「治療中の副作用によるつらい症状を緩和し、必要な治療が副作用のために中断されないようにすること」「仕事を続けながらの治療の相談」など治療前、治療中から行えることがあります。
さらには、「がんの進行による痛み、はきけ、息苦しさなどを緩和し普段の生活をしやすくすること」、「経済的なことの相談」、「在宅療養の支援」などこれらすべてが緩和ケアです。
このように緩和ケアとして行われることを見てきますと、緩和ケアは『患者さん・ご家族の治療や生活を多職種で支える(サポートする)仕組み』であることがわかって頂けたのではないでしょうか。
つらい症状や困りごとがあれば私たちのサポートを受けてみませんか。
当センターは医師、看護師、薬剤師、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー(MSW)など多職種のスタッフで構成され、必要に応じたスタッフが対応いたします。
寺邊 政宏
てらべ まさひろ
役職
所属学会・
資格
専門分野
市立四日市病院では,平成22年12月から院内・外の患者を対象とした「緩和ケア外来」も開設しております。また、入院されている患者および家族の希望に応じて、緩和ケアチームによる病棟ラウンドを行っております。
外来の患者およびその家族を対象とします
1)当院に受診されている方:各診療科の主治医に相談ください
2)当院に受診されていない方:地域連携・医療相談センター サルビアに連絡ください
電話(代)059-354-1111
緩和ケアチームとは、緩和ケアに関する専門的な知識や技術を持っている医師や看護師、薬剤師、臨床心理士、医療ソーシャルワーカーなどの多職種で構成されたチームのことを言います。
緩和ケアチームは、痛みなどの身体的な苦痛の緩和、精神的なサポート、家族のケアなどを行っていきます。また、主治医や病棟看護師と一緒に治療やケアに関わらせていただきます。緩和ケアチームは、患者や家族の悩みや不安について一緒に考え、納得できる選択ができるように支援していきます。
当院に入院中の患者およびその家族を対象とします