大動脈弁狭窄症に対するカテーテル手術について

内田医師

内田医師

大動脈弁狭窄症とは様々な要因により、心臓の大動脈弁が開きにくくなり、心臓に負担がかかる病気です。大動脈弁狭窄症は進行すると、失神や心不全症状を来たし、最悪の場合突然死を起こしてしまうこともある病気です。
近年、大動脈弁狭窄症の治療法として、外科手術に比べて患者さんの身体への負担が少ない経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)が可能となり、当院は2015年に三重県下で初めて実施しました。
その治療に積極的に取り組んでいる循環器内科:内田 恭寛医師に話を聞きました。

大動脈弁狭窄症とはどのような病気ですか?

(エドワーズライフサイエンス社 患者さん向けtavi-webより)

大動脈弁狭窄症とは加齢により、大動脈弁尖の肥厚、石灰化などにより、大動脈弁が開きにくくなる病気です。大動脈弁狭窄症の頻度は加齢とともに上昇し、80歳以上では約7%に重症の大動脈弁狭窄症を認めると言われています。症状としては、労作での息切れ、胸痛、倦怠感が出現し、さらに進行すると、失神や心不全症状を来たし、最悪の場合突然死を起こしてしまうことがあります。『年のせい』と考えられ、大動脈弁狭窄症の診断が遅れることも多く、注意が必要です。高齢化が進む本邦においても大動脈弁狭窄症患者は増加していますが、手術治療が必要な多くの患者が未治療のままである可能性が報告されています。

大動脈弁狭窄症はどのように治療するのですか?

(エドワーズライフサイエンス社 患者さん向けtavi-webより)

自覚症状や左室収縮能の低下がなく、重症度が軽症から中等症のうちは、主に定期的に心臓超音波検査にてフォローアップを行います。自覚症状が出現したり、重症度が重症に進行したりすると、手術が検討されます。手術は外科治療とカテーテル治療に分けられます。年齢、併存疾患、解剖学的特徴に基づいて、最適な治療を選択していますが、その際に個々の患者様の希望も考慮して、最終的に治療法を決定しています。
大動脈弁狭窄症に対するカテーテル手術は略してTAVIと呼ばれています。TAVIは2013年10月から日本において公的医療保険で手術可能となりました。市立四日市病院では2015年から手術可能となり、2023年12月までに250人以上の患者様に治療を行わせて頂きました。実際には太ももの付け根などの血管からカテーテルを使って人工弁を患者様の心臓まで運び、留置する手術です。傷口が小さく、人工心肺を使用しなくて済むことから、体への負担が少なく入院期間も短いのが特徴です。TAVIは、麻酔をかけて行われますので痛みはほとんど感じません。当院では多くの患者様が術後約1週間で退院可能となっております。

最後に患者さんにメッセージをお願いします。

市立四日市病院では患者様の予後改善を目指し、循環器内科および心臓血管外科が協力して、大動脈弁疾患の診療を行っています。近年大動脈弁狭窄症に対する外科治療の成績はTAVIが可能な施設のほうが、非TAVI施設と比べ良好なことも報告されています。
大動脈弁狭窄症の治療に対して2つの選択肢があるのが、当院の強みになります。大動脈弁狭窄症に対してお困りの患者様、御家族様、気軽に当院を受診して頂けますと幸いです。

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