内視鏡治療について

小林医師

消化器内科では外科のように外から切ることはできませんが、軟性内視鏡を使って体の中から治療を行います。市立四日市病院で内視鏡治療を専門にしている消化器内科:小林 真医師に話を聞きました。

内視鏡治療とはどのような治療ですか?

上部消化管内視鏡は 胃カメラともいわれるように、以前は観察するだけのものでした。しかし医療機器の進歩に伴い、腫瘍の切除や胆石の治療などが可能になってきました。消化管の内側から病変部分に対して直接治療が行えるので、侵襲が少なく、体の外側に傷ができないのが特徴です。

どのような事ができるのですか?

胃や大腸のポリープに対するポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術(EMR)、粘膜内癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、総胆管結石に対する採石(砕石)術、超音波内視鏡を使った膿瘍などに対するドレナージ(排液・排膿)などを行います。

内視鏡ではどこまでできるのでしょうか?

胃や腸は管腔臓器であり、穿孔してしまうと腹膜炎などの重篤な偶発症(合併症)を引き起こすことがあります。腫瘍の場合、基本的にリンパ節転移や遠隔転移を来さない粘膜内癌までが治療対象となり、浸潤している病変に対しての治療は困難です。また胆石の場合、総胆管結石に対しては十二指腸からアプローチができるので治療が可能ですが、胆嚢には内視鏡が届かないので外科的な治療(胆嚢摘出術)が必要となります。

入院は必要でしょうか?

内視鏡では専用のデバイスにより切開を行いますが、縫合することはあまり得意ではありません。内視鏡治療により穿孔や出血や膵炎などの偶発症を来すことがあるため、当院では基本的に入院で治療を行っています。偶発症のリスクが高い場合には、消化管や膵臓の安静を保つためさらに欠食による点滴治療が必要となります。

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