石井医師
当院の歯科口腔外科は昭和20年に前身となる歯科として開設され、昭和52年に現在と同様な歯科口腔外科を専門とした診療体制となりました。三重県北勢地域の中では、口腔外科専門医の在籍している数少ない施設(令和6年3月時点)となっており、地域の歯科医院では対応が難しい疾患を中心に治療をおこなっています。
歯科口腔外科の診療について、歯科口腔外科:石井 興医師に話を聞きました。
医科が内科や外科など診療する対象によって複数の科に分かれているように、歯科も複数の科に分けられています。現在、厚生労働省から認められている看板に掲げられる(標榜)科の名前は「歯科」「矯正歯科」「小児歯科」「歯科口腔外科」の4種類と定められています。「歯科口腔外科」とはいわゆるむし歯や入れ歯や歯槽膿漏などの治療ではなく、主に顔や口、口の中の外科的な治療(手術)を対象に診療する科です。
一般の方が良く耳にされるのは、潜っている親知らずの抜歯が多いと思います。その他には顎の骨折や顎の骨の中に出来た嚢胞(膿の袋)、顎の変形によるかみ合わせの不調和、舌や歯肉などに出来た癌などの多岐にわたる病気の手術が対象となります。
また、口に関連した前述の歯科口腔外科以外の3科の範疇には入らない口腔粘膜や顎関節などの病気や全身的な病気(糖尿病、骨粗しょう症、脳梗塞、口以外の癌など)によって医科との連携を行うことが必要な口の病気も対象となります。
法的には歯科医師免許を取得していれば前述の4科のどれを看板に掲げても良いとされていますが、専門として知識や技術を学び、研鑽を積んでよりよい口腔外科医を育てる団体として公益社団法人日本口腔外科学会があります。学会ホームページ(https://www.jsoms.or.jp/public/)に一般の方への案内のページがありますので参照されると良いかと思います。
市立四日市病院歯科口腔外科は日本歯科口腔外科学会の北勢地区では唯一の認定研修施設であり、経験や知識や技術によって学会が行っている試験に合格し認定された認定医、専門医、指導医が在籍しています。現在は原則としてかかりつけの歯科や医科から当科での治療が必要と判断された方が紹介状を頂いて当科へ受診する初診方法となっています。
それでも年間5000人以上の方が初診となり、慢性的に診療枠が不足しており診察や手術時期等に時間を頂いていますが安心・安全な医療を提供するために日々努力をしておりますので、ご理解いただけると幸いです。