頭皮冷却装置を併用した術前化学療法

水野医師

水野医師

乳がんの転移を防止する治療の一つとして、化学療法があります。化学療法の目的は全身に広がっているがんの小さな転移(微小転移)を撲滅することですが、副作用として脱毛を生じ、患者さんにとっては大きなストレスになっています。
がん治療中の脱毛を軽減するための治療法として、2019年に厚生労働省で薬事承認されたのが「頭皮冷却装置」です。

乳がん治療を専門にしている乳腺外科:水野 豊医師に話を聞きました。

術前化学療法とは?

術前化学療法とは手術の前に薬物治療(多くは抗がん剤ないしは抗がん剤と分子標的薬)を行うことです。薬物治療の目的は乳房以外の全身に広がっているがんの小さな転移(微小転移)を撲滅することですが、術前化学療法で乳房の腫瘍が消失(病理学的完全奏効と言います)することで微小転移に対する薬物治療の効果が間接的に分かることが利点です。また腫瘍が消失した場合は、その後の予後が良好であることも分かっています。

頭皮冷却装置を併用するのは?

抗がん剤や抗がん剤と分子標的薬の薬物治療を行うと9割以上の患者さんは脱毛を生じます。頭皮冷却装置は冷却液を循環させたキャップを抗がん剤投与前から投与後まで頭部に装着することで、抗がん剤による脱毛からの回復を促す効果があります。

最後に患者さんにメッセージをお願いします。

乳がんの罹患数は年々増加傾向にあり、現在、女性の9人に1人が乳がんになる時代です。乳がん検診を受診することがまず大切ですが、乳がんになっても治療法は日進月歩です。

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