
中央放射線室 丹羽 正厳
救急診療における画像診断は、迅速な診断と適切な治療計画の策定に不可欠なツールです。CT(コンピューター断層撮影装置)は一度の撮影において比較的短時間に全身の画像情報を得ることが可能であり、その有用性は広く認識されています。2023年2月に救急救命センターにおけるCTの更新に伴いSOMATOM X.cite(シーメンス社)が導入されました。このCTの特徴はAI(人工知能)技術を搭載しており、救急医療の画像診断に革新をもたらす最新機器です。
AIとは、人を見分けたり文章を翻訳したりといった、知的な推論、判断をするコンピュータープログラミングのことです。近年では大量のデータとニューラルネットワークを駆使して反復学習するディープラーニングと言われる方法は、画像等を扱う医療分野において非常に親和性が高く精度の高い結果を得られると考えられています。
寝台の上部にあるカメラから患者の形状、位置、高さ情報を三次元データとして取得します。また、赤外線測定データを同時に取得し、ディープラーニングを利用した技術によって、頭部、胸部、腹部領域などでは平均数mmの誤差で、正確な患者ポジショニングが可能となっています。撮影段階では位置決め画像を解剖学的に自動認識し、患者個々に適切な撮影範囲を提示します。体外金属の有無を自動判別して、アーチファクトなどを極力抑えるようオペレータをアシストします。
CT本体に設置されたタブレット端末で患者選択から撮影プロトコルの選択、撮影範囲の設定や画像確認を行うことが可能です。最新の自動化技術を組み合わせることで検査ワークフローを効率化し、患者に触れることなく検査が可能であり、感染症対策において非常に有効です。
撮影されたCT画像に対して解剖学的なランドマークを自動検出し、当該部位の軸位に沿った角度に自動調整された画像を作成されます。AIが自動的に画像作成を実施するため他の患者の撮影に専念できるなど安全性の向上とスループットが大きく改善しました。
頭蓋内出血症例のトリアージをより正確に行うため、出血が疑われる場合、画像上にアラートを表示する自動支援機能があります。 AI技術を搭載したCTは迅速かつ再現性のある検査が可能であり、業務負担の軽減と更なる医療の質向上が可能であると確信しています。