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令和5年度から 最新のステレオガイド下マンモトーム生検装置が導入されます

執筆:乳腺外科部長 水野 豊 / 中央放射線室 稲垣 由美

乳がんは日本人女性の9人に1人が罹患するといわれていますが、早期発見すれば完治の可能性は高くなります。そのために40歳以上になると2年に1回マンモグラフィ検診(MMG検診)が推奨されています。MMG検診で精密検査が必要と判定された場合、その疑わしい部分が良性なのか悪性(乳がん)なのか、最終的には細胞や組織を採取(生検)しなければわかりません。当院では2010年より臥位型のステレオガイド下マンモトーム生検装置が導入されておりますが、この度、最新型の装置に更新されるのでご紹介いたします。

ステレオガイド下マンモトーム生検とは、X線画像で癌が疑われる部分を確認しながら乳房に針を刺し、針の吸引口で組織の一部を採取する検査です。局所麻酔で行い、4㎜程度の小さな傷が一つ付くだけで済み、縫合も不要です。また、注射器で細胞を吸い出して行う細胞診や針生検よりも採取する組織量が多く、より正確な診断を得ることができます。

当院の装置は臥位型であるため、患者さんが検査ベッドにうつぶせになった状態で専用パッドの開口部から乳房を下垂させ、ベッドの下で生検を行います。立位や座位で行う装置に比べ、体勢が楽で安定することに加え、乳房に針を刺す様子が視界に入らず、精神的苦痛も軽減されます。また、患者さんの頭足方向を入れ替えることで乳房に対して360度からアプローチできます。臥位型の装置が導入されているのは県内では当院のみで、全国でも10数ヶ所しかありません。最新型の装置の特長は、高精細直接変換方式FPD(フラットパネル検出器)を搭載しており、少ない被ばく量で鮮明な画像が得られます。画像は従来の2D(二次元画像)から3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)によるトモバイオプシ―が可能になりました。従来の2D画像は乳腺と病変が重なって見えにくくなっていましたが、マンモグラフィの画像を厚さ1㎜にスライスして連写の様に細かく表示できるトモシンセシスを利用することにより、乳腺に隠れて見えにくかった淡く微小な石灰化も容易に捉えることができます。トモバイオプシーが可能になったことにより、淡く微小な石灰化以外にもトモシンセシスでしか確認できなかった病変、例えば石灰化を伴わない腫瘤や構築の乱れのある病変など一つの方向でしか見えない病変もターゲッティングできます。またトモシンセシスの画像を用いてワンクリックで三次元の位置決めを行うことが可能で、ターゲットの選択をより正確に行うことができます。つまり最新の装置は撮影回数の減少に伴う検査時間の短縮や被曝の低減が実現できます。

ステレオガイド下マンモトーム生検は侵襲が少ないものの全く非侵襲ではありません。よって当院ではMMG検診で精査が必要とされた患者さん全員に行うものではなく、乳房MRI検査などの検査結果も踏まえて、適応すべき症例を十分に吟味したうえで生検を行っています。

日本の乳がん検診率は欧米に比べかなり低いのが現状です。日本乳癌検診学会では乳房を意識した習慣、Breast Awareness(ブレスト・アウェアネス)を推奨しています。具体的には、自分の乳房の状態を知る・乳房の変化に気を付ける・変化に気付いたらすぐ医師に相談する・40歳になったら2年に1回乳癌検診を受ける、というものです。これからも我々は、日々研鑽を積み乳がんで亡くなる方を少しでも減少させる努力を続けていきたいと考えます。

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