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お薬の話:最近の「抗がん剤治療」について

執筆:薬局

1940年代にはじめて抗がん剤が使われるようになり、今では約650種の抗がん剤が使用可能になりました。患者さんや御家族としては理解されるのが大変だと思います。今回、最近の「抗がん剤治療」についてご紹介します。

抗がん剤治療には、どんなものがあるの?

抗がん剤治療は、大きくわけて化学療法・分子標的療法・ホルモン療法・免疫療法の4つに分類されます。

  • 化学療法: 「細胞障害性抗がん剤」を主に使用します。最も歴史があり多くのがんに使用される薬剤です。ヒトの細胞が増える仕組みの一部を抑えることでがん細胞を弱らせます。正常な細胞にも作用してしまうので他剤に比べると副作用が多い傾向とされていますが対象薬の選択肢も多く、必要時に減量や休薬などの対応もしますので安心です。また、歴史が古いから効きが弱いというわけではなく新薬も開発され今でも治療の中心として位置づけられています。
  • 分子標的療法: がん細胞の特徴的な部分だけに作用して弱らせることが可能な「分子標的治療薬」を使用します。検査結果が適した方でないと効果がない薬剤もあります。また、副作用は薬剤によって違いますが、作用する場所が特徴的なため、他の薬剤にはあまりみられない皮膚障害や高血圧などが起こりやすいと言われています。
  • ホルモン療法: 女性・男性ホルモンを利用して増えるがんである乳癌や前立腺癌などで使用されます。通称「ホルモン剤」を抗がん剤として使用します。一般的にほてりが出やすいと言われています。
  • 免疫療法: 「免疫チェックポイント阻害剤」が使用されます。近年、続々と使用できるがん種が増えていますが、がん種によって適応条件が異なるのと、免疫が賦活されたために生じるとされる免疫関連副作用を長期に観察する必要性があります。

どうして色んな種類の抗がん剤を使うの?

それぞれ単独で使用される場合と併用される場合がありますが、最近では分子標的療法や免疫療法と化学療法との併用療法が臨床応用されるケースが増えています。お互いの欠点を補い相加相乗効果を期待したものとされています。使用される抗がん剤は、がん種毎に効果が証明された実績や厚労省が定めた保険適応によって変わります。

治療開始前の検査は、何を調べているの?

最近では、「ゲノム医療」が中心になりつつあります。「ゲノム医療」とは、がん患者さんの遺伝子変化を専用の検査にて診断し治療を行う医療を言います。「肺がん」では、分子標的治療薬や免疫チェックポイントが効くタイプかどうかで使用する薬剤の種類や順番が大きく変わります。「乳癌・大腸癌・前立腺癌」などでは特徴的な遺伝子異常のある場合しか使用できない薬剤があります。 MSIという検査で異常があればどのがん腫でも免疫チェックポイント阻害剤が使用できるなど、遺伝子診療があたりまえになり、検査結果によって使用する薬剤が大きく変わることになります。この先は、体のどこにがんができたかで治療法を考えるのではなく、がんの原因となる遺伝子変化に基づいて治療法が選択されるケースも増えてくるといわれています。

最後に、安心して抗がん剤治療を受けて頂くためにも、ご不明な点がありましたら、いつでもお気軽に医師や薬剤師に御相談ください。

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