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治らない蓄膿症!? ~好酸球性副鼻腔炎について~

耳鼻咽喉科部長 鈴木 慎也

今回はみなさんも馴染みの多い?“蓄膿症”のおはなしをしたいと思います。

さて、顔の骨の中には副鼻腔と呼ばれる空洞が左右に4つずつあり、鼻の中(鼻腔)の空間と狭い通路でつながっています。そこに炎症が起きた状態を副鼻腔炎、炎症が3ヶ月以上持続すると慢性副鼻腔炎といいます。“蓄膿症”と言ったほうが馴染みのあるかたが多いかと思います。

慢性副鼻腔炎のほとんどは鼻腔に侵入したウィルスや細菌感染が原因です。炎症が起こると副鼻腔の粘膜が腫脹して鼻の中の空間との間にある狭い通路が塞がり、副鼻腔の中に鼻水や膿がたまります。さらに炎症が長引くと、粘膜の一部がどんどん腫れ上がっていき、鼻茸(ポリープ)ができることもあり、大きくなって鼻腔を塞ぐようになると鼻づまりとして感じるようになります。

慢性副鼻腔炎の治療は、細菌感染が主体の場合は、抗生剤(化膿止め)等の薬剤による治療を行います。おおよそ6 ~ 7割のかたはこれで治ります。また、改善がない場合には内視鏡用いた鼻の中で行う手術が必要になることもあります。

近年、これらのような抗生剤等の薬剤を使用してもほとんど効果がなく、前述のような手術を行っても、手術後1年以内には約2割のかたが再発し、数年の間に約半数のかたが再発するというとても治りにくい副鼻腔炎が注目されております。これは好酸球性副鼻腔炎と呼ばれており、2015年に指定難病に追加されました。

この好酸球性副鼻腔炎は、炎症が起きている部位で好酸球という白血球の一種が増加していることが確認されていますが、原因自体はまだよくわかっていません。

この副鼻腔炎の特徴としては、鼻茸(ポリープ)が鼻の中に多発することが多く、主な症状はにおいを感じにくくなる(嗅覚障害)、粘り気のつよい鼻水がでる、鼻づまりなどです。なかでも一番特徴的な症状は病気の早期からに嗅覚障害がでることです。また、気管支喘息や薬剤アレルギーなどを合併していることが多いのも特徴です。

好酸球性副鼻腔炎の診断は、内視鏡検査、CT検査、血液検査(血液中の好酸球の占める割合)、鼻茸(ポリープ)の組織検査(好酸球数)が一定の基準を満たしているかで判定します。

その治療ですが、残念ながら現在のところ完治できる治療法は確立されていません。基本的には薬物による治療と手術を適時行い、症状の軽快や再発の予防をめざすかたちです。

薬物の治療のひとつにステロイドという薬剤が有効であることが多く、その点鼻薬を継続使用したり、症状悪化時・再発時にはその内服剤を使用したります。デメリットとしては、とくに内服の場合、長期に使用しますと骨がもろくなったり、免疫力が低下したりなど副作用が起こることがあります。これらの薬物による治療で効果がみられない場合や副作用がみられる場合、手術を検討することになりますが、前述のように手術しても再発率が高いことが問題となります。もちろん、術後、ステロイド内服の使用回数を減少でき、症状としても嗅覚障害や喘息が改善されるかたもおられます。

最近、今後期待される新たな治療薬として分子標的薬が登場しました。これは炎症反応に関係している特定の物質の働きを抑えることで副鼻腔炎の改善をはかるものです。実際には自己注射で使用するタイプの注射薬剤で、効果も高い印象です。ただ、非常に費用が高価なこともあり、現在は手術しても再発し、ステロイド内服しても改善しないなどの重症の患者さんに投薬が限られております。

今回、難治性の副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎のおはなしをさせて頂きました。好酸球性副鼻腔炎に限らず副鼻腔炎でお困りのかたがいらっしゃいましたら、お近くの耳鼻咽喉科の先生に御相談ください。

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