
医療技術部 臨床工学室 河端 賢司
2020年3月11日、世界保健機関(WHO)は「WHO characterizes COVID-19 as a pandemic」と発表した。世界中でCOVID-19が猛威を振るい多くの重症呼吸不全患者が発生、本邦でも280例以上(2020年11月現在)の体外式膜型人工肺ECMO(extracorporeal membrane oxygenation)が導入された。ほとんどの医療従事者でさえ知らなかった「ECMO」という用語は、現在では一般市民も知るようになった。本邦では経皮的心肺補助PCPS(percutaneous cardio pulmonary support)という名称が使われてきたが、近年では欧米との呼称統一を図り、重症循環不全に対して静脈脱血-動脈送血にて心肺の補助を行うPCPSを「V-A ECMO(veno-arterial ECMO)」、 重症呼吸不全に対して静脈脱血-静脈送血にて呼吸の補助を行うPCPSを「V-V ECMO(veno-venous ECMO)」と呼ぶことが多くなりました。
V-V ECMOは、人工呼吸器や胸部理学療法、薬物療法など従来の呼吸管理治療に抵抗性がある重症呼吸不全に対して、「膜型人工肺を用いた体外循環で一時的に呼吸補助循環を行い、その間に機能障害に陥った生体肺の回復を待ち、生命を維持させる対症療法」である。
本邦では1980年代に新生児救命例にてECMOの有用性が報告され多くの施設が導入し、成人においては1990年代から大きく普及した。記憶に新しいのは2009年にH1N1インフルエンザの世界的パンデミックにてECMOが再評価されました。
当院では現在ECMO装置を3台保有しています。V-V ECMOとV-A ECMOは基本的な回路構成に大きな差異はありませんが、V-V ECMOでは24時間監視体制を数週間以上の施行が必要となり管理期間が長期となります。V-V ECMOの主な目的は、①酸素加、②二酸化炭素除去であり自己肺に無理をさせないこと、つまりLung Rest(肺休止)に努めます。施行方法は、遠心ポンプにて静脈系から脱血し、膜型人工肺にてガス交換(上記①と②)を行い静脈系に返血します。
V-V ECMO施行時には、ECMO装置管理の他に抗凝固療法、水分管理、鎮静また、理学療法として体位呼吸療法、持続的腎代替療法、循環補助療法などの併用が必要となる可能性もあるため専門知識を備えた医師をはじめ看護師、理学療法士、臨床工学技士(体外循環認定士)などのチーム医療が必要です。