皮膚疾患の分子標的薬治療について

津田医師

津田医師

皮膚の疾患は人目に付きやすく、良くなったり悪くなったりを慢性的に繰り返すこともあるため悩んでおられる方も少なくありません。
一方、医療の進歩から新たな治療法も普及してきています。
皮膚科:津田 憲志郎医師に市立四日市病院における皮膚疾患治療の現状について話を聞きました。

皮膚科では、どういった診療を行っていますか?

 市立四日市病院では、湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、膠原病、水疱症、外傷、熱傷、皮膚潰瘍、薬疹、アレルギーなど一般皮膚科領域の疾患の診療・治療を行っています。また、良性腫瘍、悪性腫瘍も含めた手術治療も行っています。重症疾患治療や広範囲に及ぶ手術、植皮手術、放射線治療などを行う場合、入院治療にも対応しています。常勤医師3名体制で北勢医療圏の拠点として皮膚科領域の専門的医療を幅広く提供できるよう努めています。

特色として、当院は日本皮膚科学会が認定する乾癬分子標的薬使用承認施設になっていることが挙げられます。乾癬、掌蹠膿疱症、化膿性汗腺炎、壊疽性膿皮症、アトピー性皮膚炎、結節性痒疹、難治性特発性慢性蕁麻疹、広範性円形脱毛症に対する治療ですが、これらの疾患はこれまでの外用療法や内服療法、光線療法などではなかなか良くならないことが多くありました。しかし、分子標的薬(生物学的製剤、JAK阻害薬、TYK2阻害薬)の登場で、症状改善率が飛躍的に向上してきています。中でも、乾癬に対する生物学的製剤の効果は非常に高く、既存治療では難しかった、皮疹が全くない状態を目指すことも可能になってきました。

乾癬とはどのような病気ですか?

乾癬とは、炎症性皮膚疾患の1つで、全身に鱗屑(薄い鱗状のフケのようなもの)を伴う、厚みをもった紅斑(赤い斑点)が多発してくる疾患です。時に強い痒みを伴います。発症原因はいまだに解明しきれておりませんが、ストレス、不眠、喫煙、病巣感染(扁桃炎や副鼻腔炎、齲歯)、メタボリック症候群(肥満、過食、脂質代謝異常症)で増悪することが知られています。炎症性サイトカインが関与していることが明らかになってきて、治療を怠ると皮膚のみならず、心血管イベント発症リスクや、関節炎、関節の不可逆的変形、体軸関節炎、ぶどう膜炎など、全身に様々な悪影響や合併症を引き起こすこともわかってきました。また、皮膚は人目にもつくことから、整容的に悩まれ、抑うつや引きこもりの原因になったり、就職で悩まれたり、他人からうつる病気なのではないかと懐疑的にみられたりなど、生活の上でも大きな悪影響を及ぼす疾患です。

乾癬はどのように治療するのですか?

これまでは、ステロイドやビタミンD3などの外用剤、シクロスポリンやメトトレキセート、エトレチナート、アプレミラストなどの内服薬、光線療法などで治療されていましたが、症状のコントロールは難しいことが多い状況でした。しかし、近年登場した生物学的製剤は劇的な効果をもたらし、皮疹がほとんど消えたり、塗り薬を使用しなくてもよくなったりする方もかなりおられる状況になりました。ネックとなるのが続けていくことが必要な薬剤であることと、薬剤費がかなり高額なことですが、高額療養費制度や付加給付制度により、医療費負担を軽減することができる場合も多いです。患者さんの症状、生活状況を勘案して適切な治療方法を提供できるように心がけています。

最後に患者さんにメッセージをお願いします。

皮膚疾患は、人目に付きやすいことから悩んでおられる患者さんも多いと思います。少しでも多くの患者さんに必要かつ適切な治療を提供できるように今後も努めたいと思います。

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