
約 13 年ぶりに第2CT 室の装置が更新され、キャノンメディカルシステムズ社製の最新 CT 装置「Aquilion ONE INSIGHT Edition」が導入されました。この CT 装置には人工知能(AI)が搭載され、最先端の技術を用いた多くの機能を備えています。
AI(人工知能)とは、人間の知能をコンピュータで再現する技術のことです。その中核となる技術が「深層学習(Deep Learning)」です。 例えば、人間は果物を見たときに瞬時に「ミカンかリンゴか」を判断しますが、これは目や耳から得た情報を過去の経験や知識と照らし合わせることで実現しています。AI も同様に、経験や知識を基に情報を分析し、推測を行います。この「学習」を可能にする手法が「機械学習(Machine Learning)」であり、その中でも「深層学習」はより人間の脳に近い仕組みとして注目されています。 AI 技術は、翻訳、医療画像診断、囲碁、自動運転など、私たちの日常生活や専門分野で幅広く活用されています。2024 年には、AI の基盤技術を築いた研究がノーベル物理学賞と化学賞を受賞し、AI の重要性がさらに注目されています。
今回導入された「Aquilion ONE INSIGHT Edition」は、AI を活用した高度な機能を備えています。その一部をご紹介します。
1.AI カメラによる自動ポジショニング機能: 従来は目視で行っていた撮影位置の調整を、自動で素早く行う技術です。ガントリ(CT 本体)に内蔵されたキヤノン製のカメラが患者の体位を撮影し、その映像をもとに AI が最適な撮影位置を算出します。これにより、医療スタッフの負担を減らし、より正確で効率的なポジショニングが可能になります。
2.ノイズ低減技術:AiCE(Advanced intelligent Clear-IQ Engine): AiCE は深層学習を活用した新しい画像再構成技術です。ノイズ成分と信号成分を正確に識別し、空間分解能を維持しながらノイズを選択的に除去します。これにより、胸部レントゲン撮影と同程度の低い X 線量で、精密な検査が可能となりました。
3.超解像技術:PIQE(Precise IQ Engine): PIQE は、高精細 CT「Aquilion Precision」の画像データを基に学習した深層学習再構成技術です。この技術により、より細部まで見える高解像度の画像が得られ、臨床での有用性が大きく向上します。
「Aquilion ONE INSIGHT Edition」は、AI技術を活用して高解像度化とノイズ低減を両立した次世代の CT 装置です。これにより、多くの診療科のニーズに応える臨床画像を提供することが可能になります。今後、この CT 装置が医療現場で大きな役割を果たすことを期待しています。