
感染管理認定看護師とは、公益社団法人日本看護協会が認定する資格の 1 つで、疫学、微生物学、感染症学、消毒と滅菌などに関する専門領域を基に医療施設に応じた感染対策を行います。医療施設を利用する患者・家族・面会者はもちろん、現場で働くすべての人を感染から守ることを目的に活動します。執筆者の杉山氏は新型コロナウイルス感染症が流行した際に、専用病棟で対応したことをきっかけに感染管理に興味を持ち 2023 年に感染管理認定看護師の資格を取得し、現在は ICUHCU 病棟に勤務しつつ、兼任で院内の感染管理活動を行っています。
医療関連感染や多剤耐性菌(抗菌薬が効きにくい菌)の発生状況を監視し感染症の発生を正確に把握し、感染拡大を予防・制御を行います。また感染発生の要因を科学的根拠に基づき分析し、手順や採用している医療機材・設備の見直しを行います。そして感染対策が現場で実践できているかを評価し、感染対策の徹底をするために研修会を行なっています。感染対策は医療施設全体で取り組む必要があり、医師3名、看護師3名、薬剤師4名、臨床検査技師3名の感染制御チームで活動しており、感染管理認定看護師はその中心的な役割を担っています。
医療施設において多剤耐性菌などによる医療関連感染が大きな問題となっています。感染を引き起こす病原体の多くは、汚染された医療従事者の手指を介して拡がると考えられています。そのため、手指衛生は医療関連感染を防止する最も重要な手段と考えられており、CDC(米国疾病予防管理センター)や WHO(世界保健機関)から医療従事者の手指衛生の重要性が呼びかけられています。当院では新型コロナウイルス流行以降、手指消毒薬使用量は減少傾向となっていました。そのため 2024 年度から手指衛生強化プログラムを導入し取り組んでいます。手指衛生強化プログラムとは、医療現場において医療従事者が適切なタイミングで手指衛生(手洗いやアルコール手指消毒)を実施するよう促進し、感染症の予防を目的とした活動です。手指衛生は職員の行動変容に関わるため、「5つの要素」「5つの瞬間」「5つのステップ」の3つの大きなポイントを評価し、戦略的に取り組みを行っています。
感染対策は、安心・安全な医療を提供する上で最も重要なことであると考えます。医療施設や地域の感染対策向上に寄与できるよう努めていきます。